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【食事はアメニティか?―病院の常識、非常識その7】

2006/08/10 14:40

 


 今年4月から、入院食からメニューを選べる「選択メニュー」に、医療保険からの「加算」がなくなった。廃止について、厚生労働省の意図を「選択メニューはそもそも医療ではなく、アメニティだから」と解説する人がいた。


  厚生労働省は長いこと、「差額ベッドなどのアメニティには自由診療(自由な根付け)を認めるが、医療の本体サービス(治療そのもの)には原則として認めない」としてきた。医療の本体に自由な値付けを認めて差違を設ければ、極端な話、貧富の差によって受ける医療に差が出る。それでは、皆保険にならないからだ。 


  だから、「選択メニューはアメニティ」なら、診療報酬は加算されない。日本医師会は今回の改正で、長期療養ベッドの食費自己負担化について「医食同源という言葉もある。病院での食事は医療そのもの」と反対したが、結局、自己負担になった。


 厚生労働省は食住費については、療養ベッドとの関係もあり、「家でも食事はするのだから」という意図だった。理屈を敷衍すると、長期入院でない食費もいずれ自費の可能性がある。「食事はアメニティ」というわけだ。理屈だと思うが、厳しい時代である。



  医療制度では常識だが、一般常識ではおかしいと感じることは多い。それでも、患者はなかなか口に出せない。中には、知られていないだけで、制度上、整合性のあることもある。でも、ないこともある。なかなか指摘されないと、おかしなことはますます、そのままになってしまうのではないかと思う


 些細なことでも、一般常識でおかしなことは「おかしいね」と言って、少しずつでも、患者に理解される制度にした方がいい。やっぱり、患者が主役なのだから。そうしないと、患者はいつまでも話に入れないし、負担増も理解されないと思う。 (おわり)

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【せちがらい医療費の時代の食費計算―病院の常識、非常識その6】

2006/08/09 14:00

 


  なんで、診療報酬が1食単位の計算になったかというと、患者の利便性とか、本来あるべき姿とか、厚生労働省はそんな高尚なことを考えたわけではない(と思う)。 


 食事代も患者が一定額を負担し、残りは保険から支払われる。1食単位にすれば、患者も食べなかった食事分を払わなくて済むから負担減だが、その分、医療保険から支払われる費用も減る。


 厚生労働省が今回、入院時の食事を1食単位にしたのは、単に医療保険の持ち出しを減らしたかったからで、患者の利便性を考えたからでは全然ないと、私は思う。空前の医療費節減に迫られて、やっと患者は食べなかった食事代を払わずに済むようになったのだ。(つづく)

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【朝、昼、夕食は同じ値段―病院の常識、非常識その5】

2006/08/08 14:00

 


  しかし、この4月からはやや変わった。これまでは、入院が夜の8時とかで夕食を食べなくても、退院の日に昼食を食べなくても、1日分の食費が課金された。額は、栄養士がいないとか、適時適温に出さない医療機関で11520円、それらに対応していれば1日1920円だった。 


しかし、診療報酬改定で、食費の計算は1食単位になった。夕食後に入院したり、朝食を食べずに退院したら、食事代は取られない(はずだ)。 


計算の仕方がふるっている。1日に1920円だった医療機関で1食単価640円、1日につき1520円だった医療機関で1食単価506円だ。 


どうでもいいが、3で割っただけだ。朝も昼も夜も同額というところが、実社会の感覚とずれている。「夜は食べるけど、朝は食べない」とか言ったら、朝食分だけ引いてくれるのだろうか。これもいずれ、誰かに聞いてみたい。(つづく)

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【食費の課金―病院の常識、非常識その4】

2006/08/07 14:00

 

  

個室代だけではない。病院の食費計算も、現実とはかけ離れていた。


  これまでは入院した日が遅く、夕食を食べなくても、退院した日の朝が早く、朝食を食べなくても、食費は1日分取られた。 

食べても食べなくても、食費を取るのに、退院日が近づくと、看護師さんが頻繁にやってきて、「何時頃、退院しますか」「昼食は食べますか」と、しつこく聞く。どうせ、部屋代も食費も1日分、取るのだから、食べようが食べまいが、私の勝手だろうと思うが、病院側は次に入院する人を何時にどのベッドへ入れるか考えている。

  たぶん、「夕食も食べてから出る」といったら、嫌な顔をされると思う。(つづく)

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【病院は何時間滞在で宿泊?―病院の常識、非常識その3】

2006/08/04 14:00

 


 不謹慎だが、病院をその手のホテルにたとえた人がいた。1日に複数の“客”を入れられるからだ。


  駆け出しの頃、ホテルの取材で稼働率を聞いたら、90%に近かった。「すごい高い稼働率ですね」と驚きつつ、賞賛したつもりだったが、「いや、ちょっと…、その数字はまずいから、書かないでくれ」と言われた。 


そういうホテルでなくて、シティホテルだったと思う。 


90%に近いのは、昼間、宿泊以外の目的で利用されるからだった。若かったから、「おお、社会には裏がある」と、奥の深さに感激した。


  病院の収支でも、稼働率は大きい。地方の病院には30%台などというところもある。地域にもよるから一概には言えないが、病院はそもそも、件のシティホテルと同じで、満床なら、稼働率は100%を超えるはずだ。やはり、30%というのは、どういう病院かと思う。(つづく)

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【午前4時は昨日の夜―病院の常識、非常識その2】

2006/08/03 14:00

 


友人は「1泊しただけで2日分」と驚いていたが、それで驚くのは早い。


  我が家の次男が生後3カ月寸前で入院したのは、明け方の4時近かった。高熱で病院にかつぎ込んだら、髄膜炎が疑われ、髄液を取られる子供の阿鼻叫喚のなか、「入院してください」と、個室に通された頃には、空が白々としていた。


 それで、個室代は前の日、つまり前日分から請求された。「午前4時は昨日の夜だ」というわけだ。いったい、いつから今日なのだろう。機会があったら取材してみようと思う。

  そのときは、こちらは動転しているし、阿鼻叫喚に気を取られて、考える能力も失っているから、言われるがまま、されるがままである。商売としては圧倒的に、テキが有利である。(つづく)

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【退院時のチェックアウト―病院の常識、非常識その1】

2006/08/02 17:00

 


すっかり更新が滞ってしまった。ブログを読んで、友人がメールをくれた。面白かったので、許可を得て紹介します。

  

「今年3月、うちも息子が×××で入院したとき、私は夜中に仕事をしようと思って、病室は個室にした。1日1万円というから、1万円ならいいかと思ったが、1泊しただけなのに、ホテルと違って2日分取られた。病院って信じられない。入院した翌日の朝10時にチェックアウトしたら、1万円×2日分+検査費(2万円)で計4万円請求された。徹夜明けで原稿書いて死にそうなのに、支払いでガックリ。デビットカードで払った…」

  

いきなり脱線するが、病院に〝チェックアウト〟というのはない。


  が、他にお泊りするところはないから、ついホテルと比べてしまう。で、驚くことは多いのだ。まず、宿泊数でなく、滞在日数で計算するところ。1泊したら、請求されるのは2日分だ。(つづく)

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環境整備はいつ 【子供の病気その7】

2006/07/17 14:00

 


そんなわけで、子供の入院には、付き添いが原則の病院と、付き添い禁止の病院が混在する。



親の判断を尊重し、付き添いの有無で部屋割りし、付き添いのいる子といない子が同室にならないよう配慮する病院では、小児科部長がこっそり、「原則付き添いの病院から付き添えない親子や、付き添い禁止の病院から付き添いたい親子が紹介されて来る」と、打ち明けた。


「子供は当初泣くが、親がいないと、『誰も助けてくれない』と、そのうち泣いてもしょうがないという顔になる。その顔を見るのはつらい」(小児科部長)


あれからずいぶん年月が経った。いくつかの病院小児科では、親が付き添える部屋を用意している。しかし、スペースと、コストの関係でなかなか広がらないようだ。最近はもう少し、事情が違ってきているのだろうか。よいニュースがあれば、ぜひ教えてほしい。


  ヨーロッパ病院のこども憲章」というのがある。NGOなどが協力して、子供の病気や入院のために何がなされるべきかをまとめたものだ。日本語訳では「すべての親に宿泊施設は提供されるべきであり、付き添えるように援助されたり、奨励されるべきである」と書かれている。環境が整うのは、いつの日のことだろうか。(この項おわり)
 

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対応はてんでバラバラ 【子供の病気その6】

2006/07/14 14:00

 


 付き添いを求められ、それも母親に限られたことへの恨みが消えず、5年前、子供の入院付き添いを調べて記事にした。調べて驚いたのは、病院によって、対応がてんでバラバラだったことだ。原則、付き添いの病院も、付き添い禁止の病院もある。

  

友人は娘の入院で付き添いを断られたという。退院後、「あのとき、どうして、ママは近くにいてくれなかったの」と問われるたびに胸が痛むと言っていた。一方、「付き添いが原則」と言われても、付き添えなくて困る家庭もある。もっと手のかかる年齢の子供が家にいるとか、介護の必要な人がいるとか、理由はさまざまだ。

  

病院は、親が付き添う子供や、付き添わない子供が混在するのが困るのだろう。子供が「なんで僕のお母さんは、いないんだろう」と思ったときに、納得させられないからだ。だから、原則どちらかにしようとする。


 ある病院は珍しく、付き添いの判断を、親に任せていた。この病院の小児科部長は「付き添う親のいる子と、いない子の部屋は別にします」と言った。


 付き添いのある子とない子で部屋のアレンジが必要になると、病院には空きベッドが出るリスクが生じる。空きベッドが出れば、病院は減収だ。だから、どの病院も原則どちらか主義なのではないか。(つづく)

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入院の連鎖 【子供の病気その5】 

2006/07/13 14:00

 


ともあれ、入院中は母に上京を求めて昼に付き添ってもらい、夜は私が病院に寝泊まりした。病院から職場に出勤し、病院へ〝帰宅〟する。

  

「子供のベッドで一緒に寝ろ」といわれても、点滴のチューブを踏むのではないかと気になって眠れない。家に帰れないから着替えられない。シャワーはあったが、朝は子供を看ている交代要員がいないし、夜は使用時間が過ぎていて使えない。


  子供が10日後に退院したときには、近所の人から「お母さんが入院した方がいいんじゃないの?」と言われるほどヨレヨレだった。(つづく)

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